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読書にいそしむ

ここで本の話を少ししてみたいと思います。

数年前まで本を読まない人間でした。

ファッション雑誌などに掲載されている

『好きな本特集』のページを見ても、

「みんな日常的に本を読んでいるなんてすごいなぁ」と

他人事のように感心していました。

ただ、高校の授業で習った

夏目漱石の「こころ」だけはずっと気になっていて、

授業では一部しか取り上げなかったため

いつか全編読んでみたいと常々思っていました。

主人公の葛藤と 人間の闇の部分を辿る心理描写が

高校生時代の自分に強烈な印象を与えていたのです。

読みたいと思いながら

重い腰を上げて ついに全編を読んだのは

それから約10年も経過してのことでした。

「こころ」を皮切りに読書熱に火がつき、

大正・昭和の文豪と呼ばれる作家の本を

いろいろと読んでみました。

それまで 読書という習慣がなかったため、

本を読むという行為に親しむまでに

少し時間を要しましたが、

本を読むことによって

様々なストーリーを擬似体験できることに

強く惹かれていきました。

中でも印象に残っているのは

谷崎潤一郎の「細雪」、そして「春琴抄」です。

「細雪」は図書館で借りで読んだのですが、

文庫本で厚さが約5cmもあるため、

2週間の返却期間内で読みきるのは

難しいだろうと思っていたのですが、

本当におもしろくて2週間もかからず読破できたことは

今考えても爽快なことでした。

この作品では美しきよき関西の風景が

鮮やかに描かれています。

ていねいな描写によって

登場人物を身近に、

まるで現実の存在のように受け入れることができます。

また、だいすきな着物や歌舞伎にまつわる事柄も多く登場して、

当時の文化にじかに触れることができます。

そんな愛すべき「細雪」の世界観が、

読後しばらく経ても

この胸にいきいきと息づいていることを思うとき、

心の中に光を得たようにうれしくなります。

そして、「春琴抄」は

限りなく純粋な愛の物語だと思います。

本物の愛に至るまでの過程を辿るにつけ、

苦悩や逆境のように見える出来事も

きっと目的地に辿り着くまでに必要な道であり、

そこを通らずして勝ち得ることのない愛が

その先にあるという 確かな真実を実感させられます。

これらのような作品に触れるうちに感じることは、

この時代に描かれる日本人が

とても美しい存在であるということです。

どこまでも実直で、

人生とひたむきに相対している姿勢が

ひしひしと感じられるのです。

「生」に対する 真剣な想いを見せつけられているようです。

今を生きる自分にとって

普遍的な真実を投げかけてくれる

大いなる学びの場を得たことに感謝せずにいられません。

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