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リズムの天分

十二月大歌舞伎を 歌舞伎座に観に行きました。

「夜の部」の中で最も楽しみにしていたのが

「高坏(たかつき)」という演目の舞踊です。

友人が 中村勘太郎さん主演の同演目を観て

歌舞伎がすきになったという話を聞いていたため、

いつか見たいとずっと思っておりました。

それが今回は市川染五郎さんが

踊るとあれば願ってもないことです。

染五郎さんは日本舞踊の家元だけあって、

踊りの上手さは天下一品なのです!

今年初めに松本幸四郎さんと共演された

「連獅子」を観たときには

魂が震えるような感動を味わいました。

特に獅子と化してからのダイナミックな踊りは

この舞踊の真骨頂を体現しているかのようです。

染五郎さんの踊りは本当に芸術的だと思います。

すべての動きに完璧な程迷いがなく、

抜群の身体感覚と天才的なリズム感に

触れるときに湧き上がる感情とは、

今までの人生でも数えられるくらいしかないほどの

光り輝く珠玉の体験なのです。

染五郎さんのように

類いないリズム感を持っているということは

ひとえに天分によるものだと思います。

それはある程度 後天的に伸ばせるものなのでしょうが、

選ばれた人たちにのみ

何千分の一の瞬間というものを

確実につかむことができる才が

備わっているのではないかと思います。

ここで「高坏」についての説明を少し。

この演目は初演当時の昭和7、8年頃に流行していた

タップダンスの技法を取り入れて、

高下駄をリズミカルに鳴らして踊るという

舞踊シーンが取り入れられています。

また、歌舞伎のアメリカ公演で上演された時も喝采を浴びており、

かの北野武監督は、この作品を見て

「座頭市」のシーンを思い立ったそうです。

舞踊シーンは 「タップダンス風」などではなく、

本当に「タップダンスそのもの」なのです。

しかも、高下駄を履いて、です!

本当にエキサイティングです。

踊りの超絶技巧の素晴らしさもさることながら、

それを天才が踊るとくれば観に行かない手はありません。

機会があれば、ぜひご覧いただければ幸いです。

('08年12月26日まで東京・歌舞伎座にて)

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